Standard な nasal release と non-standard な nasal release

29th/03/2011

諸事情によりしばらくブログ更新ができずにいましたが、ようやく落ち着きましたので頑張って再開することにいたします!
また、個人指導による発音矯正のほうも再開しておりますので、ご要望のある方はお気軽にご連絡ください。
なお、メールをいただきながら未だに返信できていない方もおります。大変申し訳ございません。できる限り早く返信させていただきます。

さてさて、このブログを観てくださっている方から nasal release(鼻腔開放)の英米のパターンの違いなども説明してほしいとのご要望がありましたので、今回はその点を含めて、もう一度 nasal release についておさらいしてみようと思います。
破裂音の後にすぐに鼻音をつなげて発音する場合(特に /-tn-/ /-dn-/)、nasal release は英語を母語とする国々ではどこでも共通して一般的です。ただ、誤解しないでいただきたいのは、nasal release で必ず発音するという訳ではありません。一般的に、speech が informal になればなる程 nasal release で発音される確立が高くなると言ってよいでしょう。

それではまず、復習を兼ねて以下の単語およびフレーズを (1) oral release と (2) nasal release の2つのパターンでそれぞれ発音してみることにします。ぜひリピートしてみてください。

nasal_release_revisited.mp3

written /ˈrɪtn/、cotton /ˈkɒtn/、rotten /ˈrɒtn/、button /ˈbʌtn/、
forgotten /fə(r)ˈgɒtn/、beaten /ˈbiːtn/、eaten /ˈiːtn/、
sudden /ˈsʌdn/、suddenly /ˈsʌdnli/、forbidden /fə(r)ˈbɪdn/、
couldn’t /ˈkʊdnt/、shouldn’t /ˈʃʊdnt/、wouldn’t /ˈwʊdnt/、
wait and see /ˈweɪt (ə)n ˈsiː/、
bread and breakfast /ˈbred (ə)n ˈbrekfəst/、

こんどはセンテンスで練習してみましょう。上と同様に、該当する単語を oral release で発音し、次に nasal release で発音してみます。↓

nasal_release_revisited_sentences.mp3

● I’ve eaten the rotten fish.
 /aɪv ˈiːtn ðə ˈrɒtn ˈfɪʃ/
● This book was written in Greek.
 /ˈðɪs bʊk wəz ˈrɪtn ɪn ˈgriːk/
● Suddenly, he pressed the button.
 /ˈsʌdnli hi ˈprest ðə ˈbʌtn/
● You shouldn’t rush to a conclusion. Just wait and see.
 /ju ˈʃʊdn(t) rʌʃ tʊ ə kəŋkluːʒ(ə)n. dʒʌs(t) ˈweɪt (ə)n ˈsiː/

Non-standard な nasal release のパターン
いままでのは英米を問わずいわゆる standard な nasal release のパターンです。Non-standard な発音では、この nasal release がさらに複雑なパターンを生みます。
特にアメリカの映画や、また、ロック、ブルース、ジャズ、ポップスなどの音楽、さらにネイティブの informal な日常会話で頻繁に耳にするのが “-ing” の部分のバリエーションです。“ing” の部分は standard な発音では /ɪŋ/、つまり最後の子音は velar nasal(軟口蓋鼻音)で発音されますが、この /ŋ/ を /n/ で発音するケースがよくあります。“-ing” を /ɪn/ と発音することを強調した綴りが -in’ です。さて、これがさらに進んで、たとえば sittin’ (“sitting”) は /ˈsɪtɪn/ から /t/ の後の母音 /ɪ/ が脱落し、結果的に /ˈsɪtn/ となることがよくあり、この /tn/ の部分が nasal release になります。みなさんが日常の英会話でこのタイプの発音をすることはあまりお薦めしませんが、上記の音楽ジャンルの歌手の方、また、こうした発音が要求される役柄を演じる役者さんは、ぜひ覚えておくとよいでしょう。では、以下の単語で実践してみます。それぞれ、まず standard (S) な発音をしてから、次に non-standard (NS) な nasal release による発音をします。↓

nonstandard_nasal_release.mp3

“sitting” S /ˈsɪtɪŋ/ ~ NS /ˈsɪtn/ ([ˈsɪʔn])、
“eating” S /ˈiːtɪŋ/ ~ NS /ˈiːtn/ ([ˈiːʔn])、
“putting” S /ˈpʊtɪŋ/ ~ NS /ˈpʊtn/ ([ˈpʊʔn])、
“waiting” S /ˈweɪtɪŋ/ ~ NS /ˈweɪtn/ ([ˈweɪʔn])

Today’s my singing
さて、今回は Elvis の歌はお休みして、Eddie Cochran の1957年の大ヒット曲 “Sittin’ In The Balcony”(邦題は『バルコニーに座って』)を歌ってみましたのでアップします。もう50年以上も前のロカビリー時代の曲ですが、きっと一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。曲中に何度も出てくる “sittin’ (sitting)” は、上で説明した non-standard の nasal release のパターン、つまり /ˈsɪtn/ と発音するところが重要ポイントです。それ以外では “wouldn’t” が nasal release で発音されます。カラオケは自作ですのでお聞き苦しいかもしれませんが、どうか悪しからず。↓

sittin_in_the_balcony.mp3

I’m just a-sittin’ in the balcony
Just a-watchin’ the movie
Or maybe it’s a symphony, I wouldn’t know
I don’t care about the symphonies
Just a-cymballs and a-timpanies
I’m just a-sittin’ in the balcony, on the very last row

I’ll hold your hand and I’ll kiss you too
The feature’s over, but we’re not through
Just a-sittin’ in the balcony
Holdin’ hands in the balcony
Just a-sittin’ in the balcony, on the very last row

Oh, we may stop lovin’ to watch Bugs Bunny
But he can’t take the place of my honey
Just a-sittin’ in the balcony
Just a-snootchin’ in the balcony
Just a-sittin’ in the balcony, on the very last row
Just a-huggin’ and a-kissin’
With my baby in the very last row

(*発音矯正を望まれる歌手・俳優、また、英語教師などの英語を使うお仕事をされている方は、ホームページをご覧の上メールにてお気軽にご相談ください。)

T-ACT英語発音矯正サービス
Email: s-tanaka@hatsuon-kyosei.com
HP: http://www.hatsuon-kyosei.com

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