“-ng” の部分の発音:velar nasal [ŋ] の練習とバリエーション

27th/05/2010

今回は綴りの “-ng” の部分でよく発音される velar nasal [ŋ] の発音練習をしてみたいと思います。
子音の発音は、音を作る場所が口内の奥になるにつれてポイントを把握しづらくなるようです。[m] や [n] はだれでもすぐに作れる鼻音のようですが、同じ鼻音でも舌の後部(後舌部)を軟口蓋(velum)につけて、となると、難しく感じる人が多いようです。しかも、英語で [ŋ] は音節末にしか出てこない音なので、ますます実態がつかみにくいようですね。
まずは母音の [ŋɑ] と繰り返して発音してみますので、音を作る場所を確認してみてください:

velar_nasal.mp3

[ŋɑŋɑŋɑŋɑŋɑ]

次は単語とフレーズを使って練習してみましょう:

velar nasal_words.mp3

sing /sɪŋ/、singing /ˈsɪŋɪŋ/、song /sɒŋ/、
ring /rɪŋ/、ringing /ˈrɪŋɪŋ/、bang /bæŋ/、tongue /tʌŋ/
thing /θɪŋ/、the thing I want /ðə ˈθɪŋ aɪ ˈwɒnt/、
hang /hæŋ/、hanging on the wall /ˈhæŋɪŋ ɒn ðə ˈwɔːl/

アメリカでは、“-ng” の部分を /n/ で発音する場合が非常に一般的です。また、イギリスでも地域方言によっては同様の傾向がみられます。ただし、“-ng” を /n/ で発音することへの社会言語学的ニュアンスは2つの国でそれぞれ異なります。ポップスやロックなどの歌では非常によくある発音方法で、歌詞に記すときにも、たとえば shaking を shakin’ というふうに変則的に綴ることが多いので、みなさんも見たことがあると思います。

Today’s my singing
今回は私の大好きな曲をアップします。Roy Orbison の最後の “California Blue” という名曲です。この曲が収められたアルバム Mystery Girl (1989) は、かれの遺作となりました。
歌詞に出てくる workin’、tryin’、nothin’ は、それぞれ最後が /ɪŋ/ ではなく /ɪn/ で発音しているので、歌詞も -in’ という変則的な綴りになっています。
あの美しい Roy の声にはとうてい及びませんが、頑張って歌ってみましたので、みなさんもぜひご一緒にどうぞ。
前回の曲と同様、カラオケは自作ですので、お聞き苦しい部分がありましたらご容赦ください。

california_blue.mp3

Workin’ all day and the sun don’t shine,
Tryin’ to get by, and I’m just killin’ time.
I feel the rain fall the whole night through,
Far away from you, California Blue.

California Blue, dreaming all alone,
Nothin’ else to do, California Blue.
Everyday I pray I’ll be on my way,
Savin’ love for you, California Blue.

One sunny day I’ll get back again,
Somehow, some way, but I don’t know when.
California Blue, California Blue.

Living my life with you on my mind,
Thinking of things that I left far behind.
It’s been so long, doing all I can do
To get back to you, California Blue.

Still missing you, California Blue.
Still missing you, California Blue.
Still missing you, California Blue.

(*発音矯正を望まれる歌手・俳優、また、英語を使うお仕事をされている方は、ホームページをご覧の上メールにてお気軽にご相談ください。)

T-ACT英語発音矯正サービス
Email: s-tanaka@hatsuon-kyosei.com
HP: http://www.hatsuon-kyosei.com

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